理事長所信
PRESIDENT'S OPINION

Miki Sudo

理事長所信
2024年度 理事長      須藤 未喜

理事長所信
2024年度 理事長      須藤 未喜

【はじめに】

    横須賀青年会議所は、明るい豊かな社会の実現を理想とし、1952年に全国で30番目に設立され、永きにわたり社会課題を解決すべく様々な運動を展開してまいりました。しかし新型コロナウイルス感染症の影響により、社会・地域・生活の変革を余儀なくされ、今まさに契機を迎えています。新たな生活様式が混在する時代だからこそ、私達は誠実な青年経済人として横須賀青年会議所の存在意義を把握し、組織として横須賀のまちの未来を思い描く必要があります。
    私は高校時代を海外で過ごし、大学卒業後は海外の航空会社に就職しました。様々な国を訪れ、多国籍の方々に出会い異文化に触れる機会に恵まれました。こうした海外生活を送る中で、相手を思いやり様々な環境に調和する和の心の素晴らしさに気づき、日本人に産まれたことを誇らしく思いました。加えて自然に囲まれ、地域の絆を大切にする横須賀の魅力を改めて再認識した私は、帰国後に新たな出会いに期待を寄せ2018年、横須賀青年会議所に入会しました。
    青年会議所の魅力は年齢や性別、職業や社会的背景の異なる青年経済人が同じ志を抱き、一つの目標に向かい運動を展開することにあります。今まで自分が経験したことのない環境や価値観に触れることで、自分の常識が当たり前ではなく広い視野で物事を見定める力が得られると考えます。そして青年会議所活動を通し私が一番強く感じたことは、一人では成し遂げることができないことも、青年会議所という組織の力が不可能を可能に導いてくれることです。
    私はいつも意識し心掛けていることがあります。それは「誠実」です。これは万国共通であり、誠実であることは人の心を動かすほどの影響力を与える性質だと考えます。本年、私達は誠実な青年経済人として仲間と共に失敗を恐れず挑戦してまいります。

【会員拡大】

    社会の持続可能な発展には、地域を牽引する青年の力が必要だと考えます。横須賀のまちに関心を持ち、地域や未来ある子供達のために行動する仲間を一人でも多く増やし、地域社会を動かすための大きな原動力を生み出し続けることが重要です。
    会員拡大は拡大担当委員会に任せるという認識をしている会員もいると思います。私も入会当初はその一人でした。しかしそれでは限界があります。近い将来の横須賀青年会議所のあるべき姿を想像し、会員一人ひとりが自分自身の課題と捉え当事者意識を持ち組織全体で取り組んでまいります。
    そこで本年度は、青年会議所運動に興味を持ち共感できる人を増やすための機会を創出すると共に、入会候補者が青年会議所事業に携われるように事業を構築いたします。

【未来を担う会員資質の育成】

    近年、横須賀青年会議所会員の在籍年数が短くなっており、青年会議所運動に対する知識不足や経験値不足が喫緊の課題となっています。そこで本年度は青年会議所の見識を深める研修を行うと共に、事業構築に直接携わることで会員の経験値を上げ、即戦力となる人財の育成を推進してまいります。そして仲間と共に作り上げた実績と自信を糧に、次年度以降に中核人材として組織を牽引できるリーダーの育成に繋げます。
    また、国際青年会議所・日本青年会議所・関東地区協議会・神奈川ブロック協議会では会員が成長できる機会の提供を行っています。他青年会議所会員との新しい出会い、そして活動を共にすることで育まれる友情は出向の魅力の一つです。横須賀青年会議所だけでは経験できない青年会議所のスケールメリットを体験することで新しい視野を広げ、出向先で学んだことを横須賀青年会議所の活動に活かし、更なる運動の発展に繋げてまいります。

【地域特性を活かした経済再興】

    横須賀の地域課題の一つに人口減少の加速化が取り上げられます。令和2年に改訂された「横須賀市人口ビジョン」によると人口総数は1990年代の約43万人をピークに2023年は約37万人と減少傾向が続いています。横須賀の人口減少の要因に少子高齢化の「自然減」、そして転入数を転出数が上回る「社会減」が同時に進んでいることで、更に人口減少が加速され地域経済にマイナス要因を与えている事実を見過ごすわけにはいきません。
    このような現状から今、横須賀市においても交流人口の増加は重要視されており、これまで横須賀青年会議所でも様々な取り組みを実施してきました。「横須賀市観光立市推進アクションプラン2023-2025」では、令和元年度に横須賀市を訪れた訪日外国人観光客は約6万人と推計されています。新型コロナウイルス感染拡大の影響により令和2年度以降は訪日外国人観光客の数が減少しましたが、入国緩和の影響により今後は増加が見込まれています。
    そこで本年度は新たな取り組みとして、インバウンド事業に着目し、横須賀経済に新たな可能性を創出できる事業を展開します。自然に囲まれ、国際色豊かな横須賀の地域特性を活かし、より多くの訪日外国人が来訪したくなるような仕組みを模索してまいります。

【スポーツを通じたまちづくり】

    本年「よこすかシーサイドマラソン」は第49回目を迎えます。1976年に「横須賀市民マラソン大会」として健康促進のために開催された大会は約300人のランナーから始まりました。今では約6,000人のランナーが集う、地域が一体となったスポーツを通じたまちづくり事業であり、横須賀の秋の風物詩として認知されています。
    本大会は「よこすかシーサイドマラソン協議会」だけでなく、様々なパートナーと協力し開催しております。大会を通し地域社会をより活性化できるように地域の課題を見定め、目的を明確にすることで協議会内部の連携を強化すると共に、新しいパートナーシップ構築を目指し、本年度も地域の魅力を活かした楽しく活気あるまちづくりを推進してまいります。

【戦略的な広報活動】

    どんなに良い事業を計画しても、事業の魅力が伝わらなければ、まちにより良い変化を起こす効果は低くなります。また、効果的な広報活動は横須賀青年会議所の認知度や信頼度を高めることができるツールです。だからこそ、広報活動はターゲットを明確にし、適切な時期に的確な発信をしなくてはなりません。事業の広報だけでなく、会員拡大を強力に推進するためにも継続的な広報活動が必要です。年間を通し私達の活動の魅力を戦略的に発信することで、横須賀青年会議所の運動の効果を高めると共に、新たな仲間の発掘にも繋げてまいります。
    本大会は「よこすかシーサイドマラソン協議会」だけでなく、様々なパートナーと協力し開催しております。大会を通し地域社会をより活性化できるように地域の課題を見定め、目的を明確にすることで協議会内部の連携を強化すると共に、新しいパートナーシップ構築を目指し、本年度も地域の魅力を活かした楽しく活気あるまちづくりを推進してまいります。

【未来を見据えた信頼される組織運営】

    組織運営は他委員会・関係諸団体との連携を図るためにも円滑なコミュニケーションが必要不可欠です。相手を思いやる心を持ち、寄り添うことで共に成長できる組織を目指します。子育てなど多様な事情を抱える会員でも、青年会議所活動との両立ができる組織とするべく仕組みを構築してまいります。
    また、公益法人として秩序を守り公正かつ厳格な組織体制を確立し、時代の局面にあった強い組織となることが私達の運動の効果をより高めます。限られた財源のなか予算が適正に運用されているかを精査する財政審査、組織を守るコンプライアンス審査、そして広報戦略審査の重要性を会員一人ひとりが自律的に理解することで、効果的で健全な組織運営を目指してまいります。また、各委員会がより良い事業を計画できるようにサポート体制を強化します。
    青年会議所は単年度制ですが、持続可能な運動を展開するためには未来を見据えた組織の構築が必要です。本年度は時代の変化に伴った運営体制の改善を視野にいれ、信頼される組織運営に取り組んでまいります。

【むすびに】

    私の青年会議所活動の中で一つの転機が2022年に参加した国際アカデミーでした。国際アカデミーとは、公益社団法人日本青年会議所が主催する各国の青年会議所の会頭候補者等が集い、国際レベルで活躍するリーダーとなるためのトレーニングを行います。彼らは青年会議所活動を楽しみ、とても輝いて見えました。しかし、中には日本では考えられないほど過酷な状況の中で活動している国もあり、そのような状況でも明るく夢を語る前向きな姿勢を見て感銘を受けました。国・文化・言語は異なりますが青年会議所が掲げる強い信念と志は世界共通であり、私は国際的な組織の一員として活動できることを誇りに思います。

“Where there is a will, there is a way.”


    和訳をすると、「意志あるところに道はひらける」です。これは私が海外生活の中で、自分ひとりでは乗り越えられない状況に陥った時、当時の上司がかけてくれた言葉です。私は青年会議所活動を通し様々な壁にぶつかる時も、同じ志と強い意志を持ち挑戦を恐れない仲間がいればきっと道はひらけると確信しています。こうして苦楽を共にしたからこそできる仲間との信頼関係は何事にも代え難い、一生の宝物です。
    そして、私達が横須賀青年会議所の活動を継続できるのは、先輩諸氏が青年会議所活動にご尽力され、紡いでこられた歴史と功績があるからです。感謝の気持ちを忘れず2024年度理事長として全力で邁進してまいります。会員の皆様の厚き友情と、先輩諸氏の変わらぬご指導ご鞭撻を心よりお願い申し上げ、私の所信とさせていただきます。