理事長所信
PRESIDENT'S OPINION

Yoshimitsu Takahashi

理事長所信
2023年度 理事長      髙橋 慶光

理事長所信
2023年度 理事長      髙橋 慶光

はじめに

    私は横須賀というまちに生まれ育てられました。少年の頃の私は、一番身近にいた両親の愛にさえ気づかず、自分さえ良ければ他人のことなど考えもしませんでした。自身の主張を通すことが強さだと思い込み、本当の強さの意味を履き違えていたのです。時が経ち、一人の男性と出会いました。
    その男性は青年会議所という組織の理事長を経験された方でまちのことを真剣に考え、その人の周りには同じ考えを持つ多くの仲間が集まっていました。自分の目にその姿は愛に溢れ、その中に真の強さがあるように映りました。
    それはまるで自分の家族へ無償の愛を注いでくれていたあの時の両親のように。家族でもない誰かのため、まちのために真剣に向き合っているその姿に憧れ、「自分もあの人のようになりたい」という意識が芽生えた私は横須賀青年会議所への入会を決意しました。そして、現在ではその当初の気持ちを一層上回る想いで青年会議所活動に邁進しております。
    横須賀青年会議所は昨年、創立70周年という節目を終え、本年は71年目を迎えます。これからも横須賀という地域に求められる団体であり続けるためにも、今一度、組織内部の体制を確立することはもとより、しっかりと時代に即した社会課題を把握した上で、横須賀市民の意識変革につながる運動を展開する必要があります。意識が変われば行動が変わります。行動が変われば成果が生まれます。我々は人々の意識変革を通じて、横須賀のためになる成果を生み出すことでまちの発展に寄与してまいります。

【交流人口増加が生む経済効果】

    現在多くの地域で人口減少という現状が様々な問題を引き起こしています。我々の住み暮らす横須賀も2002年度の約43万人をピークに2040年度には約31万人まで減少するという予測データも出されています。この人口減少に伴い多くの業種では売上高や営業利益などが減り横須賀経済に負の影響を及ぼしていることで、市民の不安が高まっています。2020年6月に発表された「横須賀市民アンケート報告書」によると、「生活の基盤となる仕事やお金についての不安が、どの年代も一定の回答があり、背景に今後の社会が及ぼす経済への不安があることが推測される。」と記載されており、市民の不安が高まっていることを裏付けております。
    市民の方々が安心して住み暮らし続けられる横須賀を創造するためには、この課題を少しでも解決する必要があります。662万人、これは横須賀市の2011年度、延べ観光客の人数です。新型コロナウイルスが蔓延する前の2019年度には約875万人まで増加しており、消費額は約569億円とも言われています。2017年2月に策定された「横須賀市観光立市推進アクションプラン」では2025年度までに観光客数を1,000万人、観光客消費額を636億円まで上昇させることを目標としています。
    そこで、本年は横須賀の活気を取り戻せるような交流人口増加を見据えた事業を構築いたします。その事業を通じて多くの方々に共感をいただくことでまち全体として同じ目標を見定め、経済効果を高める運動を展開してまいります。また、多くの方が訪れるよこすかシーサイドマラソンを最大限に活用しつつ、関係各所と一層の連携を図ることで交流人口増加へ向けた運動効果を高めてまいります。

【未来を担う人材の育成】

    青年会議所の魅力の一つは、まちを良くする運動を起こすために行う日々の活動を通じて生まれる自己成長にあります。しかし、その活動を行うメンバーのバックグラウンドは様々であり、それまで過ごしてきた環境によって経験やスキルの差があることは至極当然なことです。私が入会した当時の横須賀青年会議所では、先に入会したメンバーから青年会議所のルールや青年経済人としてのマナーなどを学び、活動の中で時間をかけ成長して行くことが大半を占めていました。しかし、近年の青年会議所では在籍年数の短いメンバーが増えております。横須賀青年会議所も例外ではありません。青年会議所の大きな魅力の一つである成長の機会を得ることは入会したメンバー全員の権利であり、在籍年数が短くともこの権利を行使することが可能な成長できる組織である必要があります。
    横須賀青年会議所は歴史と伝統のある組織として多くのルールやマナーが存在します。それらは、青年経済人、そして青年会議所メンバーとして必要不可欠なものです。そこで本年は、在籍年数が短くても成長できるシステムを構築します。また、各種大会への参画も機会の提供とし、日本青年会議所・関東地区協議会・神奈川ブロック協議会が主催する各種大会を準例会として各委員会で設え、それぞれの大会の意義を読み解いていただきます。それにより多くのメンバーが設営する益と、参加する益の二重の成長を得る機会を創出することで、在籍年数が短いメンバーにも青年会議所の魅力をご理解いただき、今後の活動に活かしていただきます。そして、一人ひとりのメンバーが常に自己成長の意識を持つとともに、まずは個々の成長をすることこそが組織の成長となり、地域の成長に繋がると確信しております。

【事業構築を支える盤石な組織運営力】

    質の高い事業を展開するためには事業構築を支える組織運営力が求められます。この組織運営力を高めるために、まずは、事業計画時に重要となる背景・目的の設定方法について、全ての会議参加者が共通の理解のもと議論を交わせる素地を形成する必要があります。また、事業を計画する際に付随する費用対効果の検討、法令違反を起こしていないかのコンプライアンスチェック、より一層の効果を生み出すための広報計画の審査を行うことにより、事業の質を向上させることが叶います。そのために共通認識を図ることを目的とした事業計画に関するマニュアルの改正を行います。
    そして本年、重要視していくのが2022年度に策定された横須賀青年会議所におけるビジョンに関する事項です。単年度制である青年会議所という組織において、一年間を超える方向性を横須賀青年会議所メンバーそれぞれが把握をしておかなければ、毎年異なる方向を向いてしまいます。この方向性を共通認識とするため、事業構築の際はビジョンに合致しているかを確認する機関を設けるとともに、メンバー全体へビジョンの内容を落とし込み、同じ方向を向いて事業を構築できるような体制を築きます。このようにして盤石な組織運営力を確立することにより社会課題を適切に捉え、その解決に向けた事業を構築することができるとともに、メンバーが全体として同一の目的達成へ向け行動することが叶います。

【新たな仲間を求めて】

    いかに盤石な組織体制を確立し、メンバーが成長できる環境を整え、良い事業を構築・実施しようとも、そこに参画する方々が少なければ十分な効果を得ることは難しくなってしまいます。我々青年会議所は多くの方々にご共感をいただき、共に活動することで地域のリーダー、つまりまちのことを想い、行動できる人々を一人でも多く創出していく必要があります。「青年会議所の活動を本気で行うから多くの苦楽を共にした仲間ができ、自己成長が生まれる。」
    これは私自身の経験から得た青年会議所での最大の魅力だと感じております。言葉の表現は人それぞれ異なろうとも、全てのメンバーがこの青年会議所の魅力をしっかりと認識した上で、未だ見ぬ未来の仲間に対し適切な情報を発信しなければなりません。そのためにも本年は一人でも多くの方々に我々の活動を広く知っていただくことを全ての広報の基盤とし、従来の広報活動はもちろんのこと、新たな手法に挑戦をしてまいります。

【むすびに】

    あなたは誰に幸せになってもらいたいですか。自分の家族さえ良ければいいですか。自分の会社だけ良ければいいですか。もちろん家族や会社を守ることはとても大切なことです。しかし、自分の住み暮らす横須賀(まち)が良くならずして幸せな未来が訪れると言えるでしょうか。少しだけ背伸びをしてみませんか。人のため、横須賀(まち)のために。そうすればきっと今までとは違った目線で世界が見え、今までとは違う出会いも訪れるでしょう。そしてそれらは必ずあなたという人間を一回りも、二回りも大きくしてくれます。ただ待つのではなく、自分から進む覚悟を決めたあなただからです。
    我々が大きな夢を描き、多くの関係諸団体の皆様とともに活動を続けられているのも先輩諸兄姉が築き上げたこの横須賀青年会議所という組織の一員であるからに他なりません。私はこの歴史と伝統に感謝し、メンバーの皆様とともに横須賀青年会議所の歴史を紡いでいくことを宣言いたします。様々な場面でパートナーとなっていただいた方々に今後とも変わらぬご支援を賜りますこと、そしてメンバーの皆様の厚き友情と、先輩諸兄姉の変わらぬご指導ご鞭撻を心よりお願い申し上げ、私の所信とさせていただきます。